2013年8月27日火曜日

ユークロニア

プレイ画像(いいのがなかったので、BGGから拝借)


Glory to Rome 「ローマに栄光あれ!」 の同作者によるリテイク作品
  元ゲームのローマに栄光あれ!は、テキストも多い・他プレイヤーの動きに注意しなくてはいけないアクションのフォロールール・ハンドマネジメントもあり、複雑なゲームが苦手な人には、プレイするのさえ苦痛なくらいの要素の多いゲームだった。
ユークロニアではこの複雑さをいくらか解きほぐして、遊ぶための敷居を下げたゲームにしようとしている。違いを何点か上げてユークロニア自体の評価をしたいと思う。



  まず、ローマ・ユークロニア両者とも、プレイヤーは手番が来たら、カードを一枚プレイするのが、基本の行動になっている。
  ローマの方は、このアクションカードに建物カードがくっついていて、アクションとして、カードをプレイすると、その建物は共通の場に行ってしまう。建物として、どうしても必要な物があれば、これを限られた手札で温存しつつ、プレイすることを迫られることになる。
ユークロニアでは、このハンドマネジメントの要素を、バッサリ切ってしまった。つまり、アクションカードと建物カードは分離されている。これによって、ハンドマネジメントの難しさはかなり軽減された。
  また、分離した建物カードは共通の場に置かれることになったので、いきなり無茶苦茶な強さのカードが場に出てきて、初プレイ者が驚くといったこともなくなった。初回プレイでも見通しが立ちやすくなったとも言えるだろう。
  次に建築のアクションの一本化である。ローマの方では、建物を建てるアクションには2種類あり、建物立て始める(カードを手札から自分の場に出す)ところまでは、一緒なのだが、①自分の資材置き場から条件にあった資材を建築に使うものと、②自分の手札から条件にあった資材を建築に使うものが存在した。フォロールールとの兼ね合いもあって、2種類の方法があることは、展開に多様性をもたらしていた。しかし、どうやって建物を建てるのかという大事な要素が2種類あるというのは初プレイ者を混乱させるには十分であり、ゲームの敷居を上げるのに大きく貢献していた。
ユークロニアでは、この建築を、1つのアクションにしてしまうことにより、建築は「自分のボードに貯めた資材カードを、建築予定の建物に移動させるアクション」というわかりやすいものに変えることに成功している。
  こういったルールの整理により、ユークロニアは、初プレイ者でもなんとか遊べる、テキストのそこそこあるゲームという位置まで、遊ぶ敷居を下げることに成功しており、その意味では当初の目的は達成されているように見える。

しかし、このゲームの魅力は伝わっているのか?


  ルールは元ゲーよりは、読み解きやすくなったとはいえ、所謂ドイツゲームの水準からするとかなり複雑な方である。そして、要素を減らしたことによって、崩壊しているかのようなゲームバランスを渡り切る、あの独特なマネジメント感は薄れてしまった。ローマの方では、3資源を消費する建物が立った瞬間からゲームが大きく変わり、好き勝手にやらせていると、そのまま拡大再生産で勝たれてしまうような強さの建物があった。それを建てたプレイヤーを、マークしながら、自分も強力な建物の作成や、建物同士のコンボを狙っていく…。そんな他では味わえない独特なマネジメントはすっぱり切り落とされているのだ。
  後は、ゲームとしてのテンポも遅くなった感じがしてしまう。フォロールールがなくなり、建物の効果がマイルドになったことで、拡大再生産のスピードも鈍くなり、結果として中盤に間延びした感じがあることは否めない。

  ローマに栄光あれ!を知っている身からすると、いい意味でも悪い意味でも緩やかになったゲームである。このゲームをやって「なんかごちゃごちゃしてる割にびっくりさせる要素の少ないゲームだな」とか思った人は是非私とローマに栄光あれ!をやっていただきたい。逆に今までのカールチャデク(デザイナー)の中ではかなり考えてまとめられた作品であると思う。
  カールチャデク入門品としてや、周りのプレイヤーの、テキスト多めごちゃごちゃゲーへの耐性を測る作品として役立ててはいかがだろうか?

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